家庭用プリンターの選び方ガイド — インク代(ランニングコスト)で選ぶ・印刷量別のおすすめ
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プリンターは「型落ち」が普通に現役で使える家電
家庭用プリンターは、テレビやスマホほど毎年大きく進化しません。新モデルが出ても、変わるのは省エネ性能やアプリの使い勝手、対応する用紙サイズが少し増える程度で、一世代前の機種でも印刷品質そのものはほとんど変わらないのが実情です。だからこそ、型落ちになった瞬間に値段がガクッと下がる旧モデルを狙うのが、プリンターをいちばん安く手に入れるコツになります。
ところが、ここで多くの人がハマる落とし穴があります。本体を安く買えても、後から効いてくるインク代のほうが本体価格を上回るケースが珍しくないのです。たとえば一万円台で買った複合機が、純正インクを2回・3回と買い足すうちに、もっと高い本体のタンク式機を買ったほうが結局安かった——というのは家庭プリンターで本当によくある話です。
この記事では、安く買える型落ちの見極め方、エプソン・キヤノン・ブラザーという主要3社の機種ラインの性格の違い、値段が下がる季節のリズム、そして「本体が安い=得」とは限らないインク込みの総額の考え方まで、家庭用プリンターを損なく手に入れる順序で整理します。価格や同梱インクの内容は時期で変わるため、最終的な数字は各販売チャネルでご確認ください。
この記事の結論を先に —— ① 印刷品質は型落ちでもほぼ変わらないので、旧モデルの値下がりは積極的に狙ってよい。② ただし安く買うべきなのは「本体+これから使うインク代」の総額が安い機種であって、本体価格が安い機種ではない。③ 年に数えるほどしか印刷しないなら、そもそも買わずコンビニ印刷で済ませるほうが安いことも多い。
エプソン・キヤノン・ブラザー — 3社の機種ラインの読み方
家庭用インクジェットは、実質エプソン・キヤノン・ブラザーの3社で選ぶことになります。「どこが一番か」ではなく、各社が用意している機種ラインの性格を知っておくと、自分の使い方に合う一台と、その値下がりを狙うべきモデルが見えてきます。
| メーカー | 大容量インクタンク機 | カートリッジ式の複合機 |
|---|---|---|
| エプソン | エコタンク(EW-Mシリーズなど)。ボトルからインクを補充する方式の先駆け | カラリオ(EW / EP シリーズ)。写真画質に定評 |
| キヤノン | ギガタンク(G シリーズ)。大容量ボトル補充タイプ | ピクサス(TS / TR シリーズ)。TR は前面給紙でビジネス寄り |
| ブラザー | ファーストタンク系の大容量機 | プリビオ(DCP / MFC シリーズ)。文書・FAX に強い |
ざっくり言うと、エプソンのカラリオは写真がきれい、ブラザーのプリビオは文書印刷とFAX・自動原稿送りが得意、キヤノンのピクサスはその中間でアプリ連携が手厚い、という色分けです。年賀状の写真をきれいに刷りたい家庭はエプソンやキヤノン、書類やコピーがメインで在宅ワークにも使う家庭はブラザー、という選び分けが一つの目安になります。
そして各社とも、ふだん使いの「カートリッジ式」とは別に、インクをボトルから注ぎ足す「大容量インクタンク機」を用意しています。エプソンのエコタンク、キヤノンのギガタンクがその代表です。本体価格は二倍三倍と高いのですが、インク1本あたりで刷れる枚数が桁違いに多く、たくさん印刷する家庭ほど後で効いてきます。後半のインク代の話で詳しく見ます。
同じシリーズでも、末尾の数字(世代)と、無線LAN・自動両面・カードスロットの有無で型番が枝分かれします。店頭やネットで似た型番が並んでいたら、シリーズ名(カラリオ/ピクサス/プリビオ等)と、自分に必要な機能の有無でまず絞り込むと迷いません。
「本体が安い」の正体 — カートリッジ式と大容量タンク式の損益分岐
プリンターが安い・高いを語るうえで避けて通れないのが、カートリッジ式と大容量インクタンク式の構造の違いです。ここを理解すると、「本体価格の安さ」がいかにアテにならないかが見えてきます。
カートリッジ式は、本体を安く売って、後から純正インクで利益を出すビジネスの形になっています。だから本体は手の届きやすい価格でも、純正インクのセットを一度買い替えるだけで本体価格に近い額が飛ぶことも珍しくありません。色ごとにカートリッジが分かれているタイプなら、一色なくなるたびに交換が必要で、補充の頻度も上がります。
一方、大容量インクタンク式(エコタンク/ギガタンク)は逆の発想です。本体は高い代わりに、付属・補充用のインクボトル1本で刷れる枚数がカートリッジの何倍にもなり、1枚あたりのインク単価が大きく下がります。本体の高さは、印刷を重ねるほど取り戻していける——いわゆる損益分岐です。
- 年に数十枚〜百枚程度:カートリッジ式で十分。本体の安さがそのまま得になる。タンク式の本体差額を回収できる前に使わなくなる。
- 毎月コンスタントに刷る・年賀状を大量に作る・在宅ワークで書類が多い:大容量タンク式が候補。インクの追加費用が軽く、本体差額を1〜2年で取り戻せることも。
- 白黒の文書が中心で量が多い:そもそもインクジェットでなく、トナーが長持ちするモノクロレーザーのほうが速くて経済的なことも。
つまり「どっちが安いか」に唯一の正解はなく、自分が月にどれくらい印刷するかで答えが入れ替わります。安い本体に飛びつく前に、ふだんの印刷枚数をざっくり思い浮かべてみてください。それが、カートリッジ式の値下がりを狙うべきか、タンク式のセール時期を待つべきかの分かれ道になります。
プリンターが安くなる季節 — 年賀状商戦と新生活、そしてモデルチェンジ
プリンターには、ほかの家電とは少し違う独特の値動きのリズムがあります。理由は、家庭が「印刷したくなる時期」がはっきり決まっているからです。これを知っておくと、待てば安く買えるタイミングが読めます。
- 秋〜年末(年賀状シーズン前)1年でいちばん本体が動く時期。各社が新モデルを投入し、店頭の品ぞろえも価格競争も激しくなる。写真画質の高い複合機を狙うならここ。一方、買う人が集中するぶん人気機種は品薄にもなりやすい。
- 年明け〜1月(年賀状シーズン直後)需要が一気に引く反動で、売れ残った機種が値下がりしやすい谷間。急ぎでなければ、ここまで待つと同じ機種を安く拾えることがある。
- 2〜4月(新生活シーズン)進学・就職・引っ越しで「一台目」を買う層が動く。エントリー向けの複合機やセット販売が増え、初めての一台を選びやすい時期。
- モデルチェンジ直後(年間通じて)新型が出ると旧モデルが一段安くなる。前述のとおり印刷品質はほぼ変わらないので、型落ちは積極的に狙ってよい。「現行の一つ前」を指名買いするのが賢い。
- 大型セール期間季節を問わず、各ECや量販店の大型セールに合わせて本体・インクが下がることがある。本体だけでなく純正インクや写真用紙もまとめて値引き対象になっていないかチェックを。
急ぎでないなら、年賀状シーズンの直後か、新型が出て型落ちになったタイミングを狙うのが、品質を落とさず本体を安く買う王道です。逆に、年賀状を自宅で刷ると決めているなら、ぎりぎりまで待つと品薄で選べなくなるので、秋のうちに目当てのシリーズに当たりをつけておくと安心です。具体的なセール日程や値引き幅は時期で変わるので、各販売チャネルの告知でご確認ください。
「セット・同梱インク」のからくり — セット品が必ずしも得とは限らない
プリンター売り場やネットの商品ページでよく見かけるのが、「インク○本セット」「スターターインク付き」「写真用紙付き」といったセット販売です。お得そうに見えますが、ここにも見極めるべきポイントがあります。
- 本体に最初から付いてくる「同梱(セットアップ用)インク」は、容量が少なめなことがある。最初の充填にもインクを使うため、実際に印刷できる枚数は店頭で買う通常インクより少ない場合がある。「すぐ追加のインクが必要になった」と感じる原因の一つ。
- 付属の用紙やインクの「本来いくら相当か」を冷静に見る。セット価格が、本体単体+必要なものを別々に買った合計より本当に安いか。要らない用紙が抱き合わせになっていないか。
- 自分が使う色のインクが含まれているか。写真を刷らないのに大量の写真用紙が付くより、よく減る黒インクが手厚いセットのほうが実用的なこともある。
セットが悪いわけではなく、「本体だけ安い価格」と「セットの価格」を、自分が本当に必要なものだけで比べ直すのがコツです。とくにタンク式は付属インクの量が多くしばらく買い足し不要なことが多いので、セットの上乗せ分が割に合うかをよく見ましょう。価格や同梱内容は変わるので、現在の構成は各販売チャネルでご確認ください。
スマホ印刷とアプリ — 「つながりやすさ」も買う前に確認
今や家庭の印刷は、パソコンよりスマホからのほうが多いという人も少なくありません。最近の機種はほぼスマホ印刷に対応していますが、使い勝手はメーカーの専用アプリの出来に左右されるので、安さだけで選ぶと「つなぐのが面倒で使わなくなる」ことがあります。
- 各社に専用アプリがある:エプソンならスマートパネル、キヤノンならプリントアプリ、ブラザーならモバイルコネクトといった具合に、写真や書類をスマホから直接送って印刷できる。インク残量の確認や、簡単なスキャン取り込みもアプリからできることが多い。
- Wi-Fiに直接つなぐタイプが手軽:同じ無線LANに本体とスマホをつないでおけば、家中どこからでも印刷指示を送れる。ルーターを介さず本体と直接つなぐ方式に対応した機種もある。
- クラウドや写真共有サービスとの連携:スマホに保存した写真や、クラウド上の書類をそのまま印刷できる機種もある。よく使うサービスに対応しているかを確認しておくと快適。
スマホ中心で使うつもりなら、本体スペックより「自分のスマホからスムーズに印刷できるか」「アプリの評判はどうか」を確認しておくと失敗が減ります。家族で共有するなら、複数のスマホを登録して使えるかも見ておきましょう。初期設定は購入後に一度つないでおくと、年賀状シーズンの直前で慌てずに済みます。
長く使って「結局お得」にする — 目詰まりと互換インクの付き合い方
安く買えても、すぐ使えなくなっては意味がありません。インクジェットプリンターには、長く付き合ううえで知っておくべきクセがあります。これを押さえておくと、本体を買い替える頻度そのものを下げられます。
最大のクセは目詰まりです。インクジェットは、長期間まったく印刷しないとインクが乾いてノズルが詰まり、いざ使おうとしたときに線が入ったり色が出なかったりします。復旧のクリーニングでもインクを消費するため、放置はインクの無駄にもなります。対策はシンプルで、月に数回、テスト印刷でもいいので動かしておくこと。これだけで詰まりはかなり防げます。久しぶりに使ってかすれたら、まず本体のクリーニング機能を試しましょう。
もう一つよく相談されるのが互換インク(純正以外)です。価格は魅力的ですが、注意点があります。
純正より安い互換インクは、メーカーの保証対象外になることがあり、製品によっては印刷品質や故障のリスクが指摘されています。写真をきれいに残したい・仕事で渡す書類など品質が大事なものは純正が安心。下書きや自分用の文書など品質を問わないものに割り切って使う、という選び分けが現実的です。最新機種は対応する互換品がまだ出ていないこともあります。使う場合はこうした点を理解したうえで判断してください。なお、インクは子供の手の届かない場所に保管し、誤飲や肌・目への付着に注意を。使用済みカートリッジや不要な本体・インクの処分は、メーカーの回収サービスや自治体のルールに従ってください(使用済みカートリッジの回収に対応している場合があります)。
そもそも互換インクに頼らずインク代を下げたいなら、最初から大容量インクタンク機を選ぶのが根本的な解です。純正のまま1枚あたりのコストが低いので、保証のリスクを背負わずに済みます。印刷量が多くて互換インクを検討している人ほど、買い替えのタイミングでタンク式を一度検討してみる価値があります。
買う前の最終チェック — 失敗しない順序
ここまでの内容を、実際に買うときの順序にまとめます。本体価格を見るのは、いちばん最後で構いません。
- 月の印刷枚数を見積もるこれが全ての出発点。少ないならカートリッジ式、多いならタンク式やレーザーへ。
- 用途を整理する写真中心ならエプソン/キヤノン、文書・コピー・FAX中心ならブラザー。スキャンが要るなら複合機を。
- 純正インクの1枚あたりコストを確認本体価格でなく、これから使うインク代を含めた総額で機種を比べる。
- スマホ印刷のしやすさを確認専用アプリと無線の方式、家族で共有できるかをチェック。
- 買う時期を選ぶ急がないなら年賀状シーズン直後か、型落ちになった現行一つ前を狙う。
- セット内容を見極める同梱インクの量と、抱き合わせの用紙が自分に必要かを確認してから決める。
この順番で見ていけば、「本体が安いのに後で高くついた」「機能を持て余した」という典型的な後悔をほぼ避けられます。最後に念のため、置き場所の寸法(用紙トレイを引き出す奥行きや、複合機ならスキャナのふたを開ける高さ)も測っておくと、届いてから置けないという事故も防げます。
よくある質問
型落ちのプリンターを買って大丈夫?
多くの場合、問題ありません。プリンターは世代が変わっても印刷品質そのものはほとんど変わらず、省エネ性能やアプリの使い勝手が少し改善する程度のことが多いからです。新型が出て一段安くなった「現行の一つ前」を指名買いするのは、品質を落とさず本体を安く手に入れる王道。ただし、自分が使いたいインクや用紙にきちんと対応しているか、サポート期間が極端に短くないかは確認しておくと安心です。
エプソン・キヤノン・ブラザー、家庭ならどれを選ぶ?
使い方で分かれます。年賀状の写真をきれいに刷りたいならエプソンのカラリオやキヤノンのピクサスが写真画質に定評があります。書類のコピーやFAX、在宅ワークで文書を多く刷るならブラザーのプリビオが原稿送りや文書印刷に強い。スマホ連携の手厚さも各社の専用アプリで差が出ます。型番は世代で変わるので、まずシリーズ名と必要な機能で絞り、最新仕様は各公式でご確認ください。
エコタンク・ギガタンクは本当に得?
たくさん印刷する家庭なら、大きく得になることがあります。本体は高めですが、ボトル1本で刷れる枚数がカートリッジの何倍にもなり、1枚あたりのインク代を抑えられます。年賀状を大量に作る、在宅ワークで書類が多い、といった人ほど本体の差額を1〜2年で取り戻せることも。逆に年に数十枚程度なら、回収する前に使わなくなりがちで、本体の安いカートリッジ式のほうが向きます。自分の印刷量で損得が入れ替わります。
本体に付いてくるインクだけで、しばらく印刷できる?
機種によります。本体同梱の「セットアップ用インク」は、初回の充填にもインクを使うため、店頭で買う通常インクより印刷できる枚数が少なめなことがあります。「買ってすぐ追加インクが必要になった」と感じるのはこのため。タンク式は付属インクの量が多く、しばらく買い足し不要なことが多めです。同梱インクでどれくらい刷れる目安かは、商品ページや仕様でご確認ください。
年に数回しか印刷しないなら、何を選べばいい?
そもそも買わずに、コンビニのネットプリントで済ませる選択肢があります。インクジェットは長期間使わないとインクが乾いて目詰まりし、復旧のクリーニングでインクを無駄にしがち。年に数回程度なら、コンビニ印刷のほうが安く確実なこともあります。それでも自宅に置きたいなら、本体の安いカートリッジ式を選び、月に数回はテスト印刷で動かして詰まりを防ぐ運用を心がけましょう。
互換インクで本体を安く運用していい?
コストは下がりますが、互換インクが原因とされる故障はメーカーの保証対象外になることがあり、印刷品質や詰まりのリスクも指摘されています。写真や仕事の書類など品質が大事なものは純正、下書きなど割り切れるものは互換、と用途で分けるのが現実的。リスクを背負わずにインク代を下げたいなら、買い替えのタイミングでもともと単価の安い大容量タンク式を選ぶほうが根本的です。
プリンターが一番安くなるのはいつ?
急がないなら、年賀状シーズンが終わった年明け〜1月の谷間か、新型が出て旧モデルが型落ちになったタイミングが狙い目です。新生活シーズン(2〜4月)はエントリー機やセット販売が増え、初めての一台を選びやすい時期。各ECや量販店の大型セールで本体・インク・用紙がまとめて下がることもあります。具体的なセール日程や値引き幅は時期で変わるので、各販売チャネルの告知でご確認ください。
スマホだけで使いたい。気をつけることは?
最近の機種はほぼスマホ印刷に対応していますが、使い勝手は各社の専用アプリ次第です。自分のスマホからスムーズに印刷できるか、アプリの評判はどうか、家族の複数端末を登録して共有できるかを買う前に確認しておくと、「つなぐのが面倒で使わなくなる」を防げます。同じWi-Fiにつなぐ方式が手軽で、クラウドや写真サービスとの連携に対応した機種もあります。初期設定は購入後すぐ一度つないでおくと安心です。
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